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藤崎孝敏油彩画ギャラリー
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Cauvineの詩
 
Cauvineの詩

裸婦

 

 

 

 

   繋がれた驢馬は
   くいの周りをぐるぐると廻っている
   縄がくいに巻きついて
   そして 驢馬は身動きとれなくなる
   しばらく驢馬は自分のおかれた立場に困ったような
   顔をしているが
   そのうちそのことを忘れてしまう
   ふと 偶然のように
   彼は逆の方向へ廻りだす
   そして 再び同じことを繰り返す
   繋がれた彼の一日はそうして暮れてゆく
   遥か夕暮れの空には
   美しい生き物が住んでいるような
   気がする。
            Cauvine

 

                      

 

九月の黄昏の営みが降りて来る
降りてくる私の場末のカフェのテーブルに
語られぬ思いと暮らしが
継ぎはぎだらけのパリの空に
滲み昇る
思い馳せたわずか評りの望みは
遥かの空の向こうに雨の雫となり
小さき屋根の上に静かに静かに  

降りてゆく
閉ざされたままの琉璃窓に
逝いた思いも水蒸気となり
絡みつく
仰ぎ見る今夕のときの彼方に
金色の泡立つ呟きがくすみ
干からびて鋪道の脇を
流されてゆく
 Cauvine    

眠る犬


 

 

 俺はカフェのコントワ−ルにいる
年老いたマダムが
俺の横に来てビールを頼む
サーヴィスは彼女を嫌っている                              
彼女にテーブルでひとりで飲めと叫ぶ
俺は知らない
なぜ彼女が嫌われているのか   Cauvine    

 
 
 
 


 

 

私の死ぬ時には
小高い丘の上の雨上がりに
虹の立つことであろう
季節は終わりの旅の途中であろう
昼下がりの田舎町の裏通りには
ゆるやかに陽が下りて 

少女たちのはしゃぐ声が
通りを駆け抜け
太陽が麦わら帽子を被る頃だろう
そして私は
心懐かしき黄昏を
窓辺に咲かせ
眠りにつくことだろう 

Cauvine        

 

 

 

裏通り